発泡スチロールには70年以上の歴史があり、私たちの豊かな生活を支えるために、
その特性を活かして様々な用途で使用されてきた実績があります。

1950年: ドイツのBASF社による発明

発泡スチロールは1950年にドイツのBASF社によって発明されました。
BASF社は、ポリスチレンを炭化水素ガスで発泡させる技術を開発し、
軽量で断熱性に優れた素材である発泡スチロールが誕生しました。

1954年: 日本への初輸入

日本に初めて発泡スチロールが輸入されたのは1954年のことでした。
当初はコルクに代わって冷蔵庫・冷凍庫などの断熱材として使用されていました。

1957年: 南極昭和基地での使用と普及

1957年に南極の昭和基地が建設された際、越冬用建屋の断熱材として発泡スチロールが採用されました。
この実績が評価され、発泡スチロールは性能の良い断熱材として広く利用されるようになりました。

1959年: 国内生産の開始と包装材としての利用

1959年、日本国内で発泡スチロールの生産が始まりました。この頃から、発泡スチロールは包装材としての採用が本格的に始まりました。
軽量で耐衝撃性が高いという特性を活かし、梱包材や緩衝材として使用されるようになりました。

1960年代半ば: 魚箱や農産箱としての利用拡大

1960年代半ば頃から発泡スチロール製魚箱が開発され、軽量で保冷性に優れ水にも強い性質を活かして、
木箱に代わる素材として魚の保冷輸送に利用されるようになりました。
農業分野でも、リンゴ箱に代表される農産箱としての需要が拡大しました。
農産箱・水産箱を代表とする容器用途としての利用は発泡スチロール全体の需要の半分を占めるまでに成長しました。

1985年: 土木分野でのEPS工法導入

1985年には、ノルウェーから導入されたEPS(Expanded PolyStyrene=発泡スチロール)工法により、
発泡スチロールブロックが土木用材として使用されるようになりました。
これにより、発泡スチロールは建築・土木分野でも広く活用されるようになりました。

1991年: 出荷量のピーク

発泡スチロールの需要は拡大を続け、1991年には原料の出荷量がおよそ237,000トンとピークに達しました。
しかしその後、環境問題への懸念や代替素材の登場などの影響を受け、出荷量は減少に転じました。

2023年: そして現在

2023年度には、発泡スチロールの原料出荷量は約110,000トンと、ピーク時の半分以下にまで減少しました。
これは、環境への影響を抑えるための規制強化や、代替素材の採用が進んだ結果の需要減少と考えられます。

まとめ

このように、発泡スチロールは1950年の発明から現在に至るまで、様々な産業分野で重要な役割を果たしてきました。
近年の製造量は減少傾向にありますが、それでもなお私たちが豊かな生活を送るためには欠かせない素材であると言えるでしょう。

参考サイト

発泡スチロールとは – 発泡スチロール協会発泡スチロール – Wikipedia