受注から施工までの流れ(栃木県鹿沼市 M様住宅 施工:藤田木材(株))

建物の断熱材にはグラスウールや発泡スチロール板(EPS・XPS)等があります。何れを選んでも「建築基準法」「建築物省エネ法」「品確法」の3つに合致した材料を使用します。

施工会社と施工主様の判断に基づき、EPS板を選んだ場合の施工までの説明をします。

1.断熱材の使用基準打ち合わせ

建築基準法に基づき発泡スチロールは自己消化性を有したJIS規格に合格した材料を選定します。

ここで、「建築物省エネ法」の省エネルギー基準(注1)に基づいた地域毎の断熱材の使用基準を確認し、発泡倍率や板の厚みを決定し使用面積と使用サイズや数量などを基に金額の見積りをいたします。

栃木県鹿沼市は第5・第6区域ですが、今後の省エネを考えて2ランク上の断熱材を入れていただきました。 (平成20年建築なので現在の省エネ法「平成25年度改正省エネ法」とは断熱材の仕様が異なっています。)

注1)省エネルギー基準とは経済産業省及び国土交通省がエネルギー消費の削減及び地球温暖化対策の推進のため、省エネルギー法(「エネルギーの使用の合理化に関する法律」)に基づき告示している「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」及び、「住宅に係るエネルギー使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の方針」の通称です。

2.断熱材のサイズ・厚み・数量の最終確認

施工会社から使用する断熱材のサイズ・厚み・数量や斜めカットの有無等の図面を頂き最終の規格確認を行い、納期と納入場所の指示を頂きます。

3.発泡スチロール板のカット

指定された図面に基づき、ニクロム線で板の切り出しを行います。
建材用発泡スチロールニクロム線によるカット風景
(実際の物とは異なります)

建材用発泡スチロールカットした発泡スチロール板
(実際の物とは異なります)

4.発泡スチロール断熱材の施工

発泡スチロール断熱材の施工には工場加工と建築現場施工の2種類有り、ツーバイフォー(2×4)住宅やプレハブ工法などは建築物を工場でパネル状に組み上げるので、工場で断熱材を組み込むことがあります。 在来工法では柱を立ててから壁材を貼付けて組み上げるので、断熱材は建築現場で組み込みます。
M様住宅はツーバイフォー住宅ですが、断熱材の組み込みは建築現場で行いました。


壁に組み込み


建材用発泡スチロール壁に組み込みと配管・配線


建材用発泡スチロール屋根組込み、断熱材が落ちないように小木で端止め


建材用発泡スチロール屋根裏の配線(カッターで逃げ加工)


建材用発泡スチロール施工家屋の外観(建築中)


断熱材は「屋根裏」「壁」「床裏」と建物の外気に触れる全ての周囲に組み込みました。
窓ガラス等は全て断熱性の高いペアガラスを使用しています。

2ランク上の断熱材組み込みによって室内は温度変化が少なく、夏も冬もエアコンの効きが良く電気代が安く済んでいると施工主のM様は言っておりました。

ちなみに、断熱材の特性比較はこんな感じになります。

鉱物繊維系(グラスウールやロックウール)
・○大量に普及しているので価格が手頃である
・○天井裏に吹き込み断熱ができる
・○原料が不燃性なので耐火性能が高い
・○防音材としても使用される防音性と吸音性を有する
・▲高い断熱性能を得るためには厚みが必要
・▲充填施工に適しているが断熱材の脱落が起きないよう施工に注意する必要がある
・▲吸湿しないよう防湿材の施工が必要

発泡プラスチック系(ポリスチレンフォームなど)
・○厚さに対して断熱性能が高いものが多い
・○独立気泡構造のため、防湿性が他の断熱材より高く、結露防止効果が高い
・○カッターなどで切削でき、付加性能が調整できる
・○経年による性能低下が少ない
・○形状が板状なので、外張り断熱や床断熱ができる
・▲価格が鉱物繊維系より高いものもある
・▲炎などの熱に弱く耐火性に劣る